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Dare To Soar

数週間の怒涛の繁忙期を何とか無事に終え、ほんの一週間ほどだが、ポッカリと空いた余裕のある時間を持て余している。疲れているのか、はたまた腑抜けてしまったのか…、我ながら困ったものだ。仕事ばかりの生活になると、ふとした時にこうして時間を持て余してしまう。俺なりにそつなく仕事をこなす様になってきたのだろう。あるいはサボり上手になってしまったのか。

ソロモン諸島に赴任して4年が経ち、精魂を費やしてきた我がホテルは、それなり累積した問題はあり、それら問題が容易に解決する…などということはないとはいえ…、ホテルの業績は右肩上がり。少しずつではあるが確実に全体の質が向上しているのが実感として分かり、そして“お客様”と“数字”がそれを実績として証明してくれている。我ながら自身へ及第点を与えてもいいだろう。

しかしいつまでもこの場所で、同じ事をしている訳にはいかない。南国でそこそこ余裕のある生活をしながら(社会的にも金銭的にも)陽だまりにぬくぬくと浸かっている気は俺にはなく、40を前にして最近はそっちの焦りの方がグングンと頭ン中を侵食している。「ホテル業務を極めた」などと大それたことは全く言えないのだが、“glass ceiling”とはよく言ったものだ。このままソロモン諸島の、この会社の、このホテルの、今のポジションでは、伸びしろが皆無である。

仕事が頭から離れず、寝付けない夜が頻繁にあるソロモン諸島での生活を、陽だまり…などとは個人的には微塵も感じていないが、competitiveでpressureばかりの東京での暮らしに比べれば、無用なストレスは確かに少ないだろう。…が、その分、エネルギーの殆どが純粋に仕事にばかり向けられたりするものなのだ。しかしソロモン諸島のような、観光産業さえ発展途上の南国の小さな島国で、客室100室のホテルを切り盛りしていくだけでは、自分自身のmotivationはこれ以上保てそうにない。

soaring_eagle.jpg

ところで、俺の働いているホテルのフロント・オフィッスには、例の"Dare To Soar"のフレームが掛けられている。“Your attitude almost always determines your altitude in life."という、あれだ。俺が4年前に赴任してきて以来、そのA4サイズのフレームはホコリにまみれたまま一度も磨かれることも、剥がされることなく、ホテルの客室販売システムやレストラン売上計上システムのサーバーが設置してあるサーバー室の入り口のドアの上の壁に張られてあり、俺は時として感慨深く眺めていたものだ。

貨幣経済が入ってまだ間もないソロモン諸島では、国民の8割が銀行口座を持っておらず、実に我がホテルで働いている従業員の殆どが、レストランで食事をしたり、ホテルに宿泊した事が一度もないのだ。毎月2回の給与は現金で支給され、彼らの殆どは支給された給料を貯金する事なく数日の内に使い果たしてしまう。かといって、ソロモン諸島の人々は貧しいか?と言われれば、決してそうではない。ソロモン諸島では乞食を見ない。金が無くても村に帰れば部族の仲間達が暖かく迎え入れられ、村での生活には豊かなフルーツや野菜、海の幸がある。お金がなくても十分に暮らしていけるのだ。市場経済に生活を蝕まれた経済諸国とは、「価値観」が圧倒的に異なるのだ。

そんな我がホテルの従業員達の中に“career plan”や“work ethic”、或いは“professionalism”などという言葉を、自分自身にあてはめ考えることができる者は、いったい何人いるのだろう?俺はソロモン諸島の人々と共に仕事をしながら、いつもこの“Dare To Soar”のフレーズを思い出す。“Your attitude almost always determines your altitude in life." 

いつ誰が、どんな思いであのフレームをかけたのだろう?そして何年もこの壁に貼ってあるこの言葉を、彼らはどんな想いで眺めてきたのだろうか?なぜ我がホテルの多くのソロモン人スタッフ達は、自らの仕事に「プロ意識」や「向上心」を持てないのだろうか?そして、どうしたらこのフレーズの意味を、彼らソロモン人スタッフ達に伝えることができるのだろうか?

ソロモン諸島に赴任して以来4年間、俺は常にそんなことを意識しながら自らの仕事に従事してきた。俺なりに彼らに本気でぶつかってきたつもりだ。決してeasyなbossを演じてはこなかったはずだが、そのせいか、俺はこの国の人々に、そしてホテルの従業員たちに暖かく受け入れられてきたと思う。決して日本では経験することのできない、素晴らしい修行をさせてもらっている。そして俺自身からも、ホテルの従業員達に「何か」を伝える事が出来たはずだと確信している。だから今は一点の後悔もない。

しかし俺はそろそろ新しいことに挑戦してみたい。新しい風に乗り、進路を変え、高く飛びたい。そしてアジアで、中国で、一度仕事がしてみたい…。最近はそう強く思う。イイ年になってきてるが、俺は模索し続けることを恥ずかしいことだとは思わない。だから風を待ち、迷い、そして探し続けていたい。我が人生におけるaltitudeを決めるのは、俺自身なのだ。
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テーマ : 日記というか、雑記というか…
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南十字に祈りを込めて

こちらソロモン諸島はジトジト長雨も最近ようやく明け、ここ一週間ほどけっこう良い天気が続いている。穏やかになり、鮮やかなブルーを毎日少しずつ取り戻していく海を見てると、無性に「潜りたい」という気持ちに掻き立てられる。久しぶりの感覚だ。

しかし最近まで続いていた長雨のせいでジャングルから這い出てきてしまったのか、先週土曜日にはボネギ海岸近辺で4匹のワニの目撃情報が出た。

さて俺の方は、ソロモン諸島に赴任してきてから4年が経とうとしている最近になって、何故かふと「南十字星」に強く惹かれるようになり、この頃は毎晩のように南の空を見上げている。

俺が住んでいるフラットはティンゲ地区の丘の上にあり、真南を向いた家の玄関を開けると目の前は谷底、谷を挟んで真向いにはタサヘ地区の丘が正面に広がってる。そのタサヘの丘のちょうど真上、南天の彼方に落ちる「天の川」の中に「南十字星」は見えるんだ。
南十字星
北極星同様、南十字の5星のどれもが決して明るい星ではなく、少し雲が出るとすぐに見失ってしまう。最初、ぼんやりと夜空を見上げていた時には、どれが南十字星だか全く分らなかったが、ある日星座図を調べてみると簡単に見つける事ができた。そんな南十字を見上げるのが、最近はちょっとした日課になっているのだ。

そんな風に毎晩夜空を見上げながら俺は、貴女もニュージ―ランドではこうして南十字星を観てたんだろうか…?といつも想う。そして「きっとこれは静かな日々が続いているという兆しなんだ…」と自分に言い聞かせるのだ。これまで俺の生活の中には、あまりそういう時間はなかったから。

先に旅立ってしまった貴女にも、これからは静かな日々が続くのだろうか?凛々しくきれいなNZ英語を話していた貴女、美しい声でカーペンターズを歌っていた貴女、長い闘病生活、本当にお疲れ様でした。どうかこれからは安らかに過ごしてください。そして南の空から愚かな私を見守っていてください。いつかまた蒼空で貴女に出逢う日まで。

遠くソロモン諸島より南十字に貴女の冥福を祈っています。

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